アマチュア無線局の遠隔操作(リモートシャック)環境の構築


アマチュア無線局の遠隔操作
                                       最終2018.10.31
 [2018.10.31] リモートシャックの場所がやっとNTT-WestのひかりNextのサービスエリアになりました。
        早々に超低速のCATV-Internet接続を解約、NTT-WestのひかりNextにしました。これで、
        やっとまともなInternet通信環境になりました。コンデションが悪いのでFT8中心の運用です。
        全体の構成図はこちら
 [2018.09.06] リモートシャック運用でDX復帰して3年半、RigをSunSDR2 proに更改しました。
        QSO数が約5000になりました。特に問題なく楽しめています。
 [2017.08.20] JT-65,FT8の環境設定をしました。9,10月は、FT8でCQを出すと呼ばれ続きです。
 [2016.02.10] 40年ぶりにリモートシャック運用でDX復帰して1年が経ちました。
   戦果は、場所が 山に囲まれた、山間部の谷合の割には上出来と思っています。
   QSO:1300、DXCC-Entity:184、Challenge:518、VP8STI、VP8SGIでもATNOも解消!!。
 [2015.06.12]リモートシャック運用のDXCCルールについて掲載しました。
 [2015.06.01] 2月中旬から40年ぶりにDXer復帰しました。約3カ月で450QSO、118Entityです。
   どうかと 思いましたがリモート運用でも全く問題ストレスなく運用できています。
   Modeは、現在SSBとCWだけです。 夏枯れ時期に、RTTYの環境も作りました。
   2015.12.05現在、約1100QSO,169Entity、Challenge465です。
  [2014.12.09] 松江市に設置のリモートシャック1KWの変更検査が無事に終了(^o^)!!
   1.8~54MHz間の1KW運用の環境が整いました。時間が取れ次第、記事にしていきます。
    ARRL会員、LoTW、Clublogにも登録しました。 リモートシャック環境の構築のため2年近くかけて
   必要な次の開発と検証・評価作業をやってきた。現状の構成図(PDF) 図中のRaspberryPi
   B+を使ったコントローラーは準備中です。

0.無線局のリモート運用の計画時に必須の事項
  (1) Intenet経由で、遠隔地のコントロールをする場合は、極力、ISPは同一にすること
   ネットワーク距離(途中で中継するルーターの数とその間の速度)が全く違います。
   ISPが異なると一般に 事業者間の相互接続点IX(東京と大阪)を経由するので、中継区間が増えて
   遅延が大きくなり操作性に 大きく影響します。
   大まかな目安ですが、同じISPで同一都道府県内なら10mS以内、ISPが異なると40~60mS、
   5倍程度は 遅延量が違います。40~60mSのDelayは、双方がひかり通信で条件が良い場合で、
   これより悪化する事も 想定するべきです。
   音声の遅延を気にして、Skype等のVoIPソフトを検討するより前にISP選定が優先です。
   移動通信のLTE(3G)やWiMaxを使う場合は遅延が大きくなります。ドコモのXiで検証した結果は
   70~80mS程度のDelay でした。ドコモの基地局でエントランス回線に準ミリを使っているとさらに
   約50mSのDelayが追加され130mS程度になりますがSSBの実運用では問題なかったです。
   WiMAXでの検証結果は、110~130mSのDlayでした。 検証したサンプル量が少なくて確定は
   できませんがDelayが150mS以内なら実用と判断できそうです。
  (2) リモートコントロールされるHOST-PC
   [2018.9] RigをTS-590GからSunSDR2proに更改したのに伴い、HPのZ220-sffにしました
        これは、Intel AMTを持っていて、OSに無関係にリモートでWebコントロールできます。
   Rig-Controlソフト等のためOSはWindows7,8.1,10のPRO以上になります。
   複数のクライアントPCが 同時接続する場合は、Server2008R2以降になります。
   個人利用ならクライアントOSで十分ですね。
   Windows8.1の後に何もついていないEditionはHome-EditionでNG、Pro以上が必須です。
   Windows8.1,10でベンダーがPre-Installして売っているのは、ほとんどがHome-Editionです。要注意!!
   使うハードは、一般のPC用はだめです。フリーズしたり、ブルースクリーンになった時にギブアップです。
   OSとは無関係に起動・シャットダウン・ハード監視ができる機能を持ったサーバー用ハードを使います。
   私がお勧めしているのは、ヤフオクで中古が¥1万前後で入手できるHPのML110G6かG7です。
    ローエンドながらサーバーですので連続運転で長期間の運用ができるタフな作りになっています。
   標準の搭載機能でOSに関係なくブラウザで、電源ON/OFF、シャットダウン、ハード監視等ができます。
    HPでは、この機能をiLOと呼んでいます。これに、Windows7か8.1,10ProをInstallしてHost-PCにします。
1.アンテナの自動切替
  トランシーバーから取り出した(CI-V、CAT)周波数情報からアンテナ切替を自動化する。
  リニアアンプのバンド切替を自動化するのに、これを使っている方も数人います。
  ANT-57の開発と必要な方への頒布
2.メーカーが異なるトランシーバーとリニアアンプの連携
  CATからCI-Vに変換をするInterfaceを作成した。これを介して他社間もOK 自分ではTS-590と
  IC-PW1を連携させる。記事はこちら
  TS-590(G)とIC-PW1を接続すると、ALC動作が過敏すぎる!! 
  KenwoodのサポートにTS-590の ALC入力インピーダンスを問い合わせたら、VRでALCレベルを下げるより
  DIODEを直列に追加する 方法が良い。とのアドバイス。
   1N4007を3個直列に追加(負電圧だからPW1に電流が流れ込む方向)に追加したらPW1のALC-VRの
  調整で適度のALC動作になった。
  整流用DIODE2~4個を直列に入れることでDiodeのVF分だけALC電圧が小さくなり、適度の電圧になる。
3.IC-PW1の供給電源ONでそのまま使える改造
  IC-PW1は、供給電源をONにすることに加えて、電源ボタンを押さないとONにならない。
   面倒なので、IC-PW1の供給電源ONで運用状態にする改造を行う。
  Icomサポートに聞いて確認したことが間違っていた。別途作り直しをします。
4.ローテーター(Rotor、Rotator)を遠隔地のパソコン(PC)からコントロールする
  2013年9月から一般頒布も開始し、皆さんに快適になったと喜んで使っていただいている。
  2019年5月現在で出荷数約530台です!!
5.リモート制御に向けて
 (0) 監視制御等の現状紹介こちらのPageに載せています   全体構成図を併せて見て下さい
 (1) ネットワーク・無線設備の構成
   松江市の田舎にリモートシャックを構築。制御は約160Km離れた広島市から行う。
   回線は、松江:NTT-Westの光のサービスエリア外のためCATVのケーブルMODEM(実効速度1Mbps)
    広島側は、ひかりネクストで、1Gbps。 環境はこちら
 (2) 松江と広島間の接続 Internet経由で、
   VPN(PPTP)接続を行った後にリモートデスクトップ(RDP8.1)で接続する。
   RDPは機能向上した8.1または10を使うことをお勧めします。
   Windows7の方は8.1にVersion-UPすること。 Win8は、Win8.1にすればRDP8.1に自動でなります。
   リモートデスクトップ(RDP8.1)で接続した時に、サウンドデバイスが見えない。
   ホスト側で、windows7の設定変更追加が必要になる。 解説はこちら(RDP8.1も含む)
   リモートデスクトップ接続ができない事象。
   ID、PW、IPアドレス以外にこのような事例もあります。
  (3) 遠隔操作に使うPCアプリ等
   トランシーバーにkenwoodのTS-590を使うことにしたため、Kenwoodがフリーで 提供している、
   ARCP-590(Clientだけ)を使うことにした。HRDも併用です。 ARHP-590(Host)とARVP-10(VoIP)は
   ネットワーク負荷軽減のため使いません。
6.リモート局のパソコン(Host-PC)
  リモートシャックに置くパソコン(Host-PC)の電源ONは、WOL(Wake on LAN)で起動するのが
  一般のようですが、 これだけでは、極めて不安です。
  PCのOSが固まる、ブルースクリーンになる等の異常時は現地に行かないと シャットダウンできない
  最悪の事態になります。
  このため、私はHPのLow-Endサーバー(ML110G6)にWindows7Proを入れて使っています。
   基本機能のiLOを使って、OSとは無関係に電源ON/OFFや動作中の各部電圧モニターなどができます。
7.使用するルーター
  バッファローやIOデーター等の家庭用ルーターでは無理です。バッファローにWOL起動の機能を
  持っている 物がありますが、評価した結果は不安定な上に電源OFFになるとMACアドレスの
  キャッシュが消えて使えない ようになります。 簡易な方法(TermVewer等)もありますが、
  まともにやるにはInternet-VPN接続が必須(お勧め)です。
  プロトコルは簡易なPPTP接続を使うことで進めます。VPNルーターは、YAMAHAのRTX1100を例にします。
  選定理由は、企業からのリースバックがたくさん市場に出ていて非常に安価で入手できます。
  ヤフオクで、¥3~4kで入手できる。
  YAMAHAが提供して非常に安定しているDDNSが無償で使えるので 高価な固定アドレスを使わないでも
  Internetから名前解決でき、問題なくリモート接続が可能です。 Internet接続回線にADSL、
  CATV、ひかりを使う場合は、RTX1100で十分ですが、移動体通信のLTE(3G)や WiMAXを使う場合は、
  現行機種のRTX1200等が必要になります。
  評価結果はこちら固定回線で他に使えそうな物:RT-57i、RT-58i、RTX-1000(ちょっと古過ぎ?)
  SRT100は、PPTPが使えません。
  私がVPN接続にL2TPを使わないでPPTPを使うことにしたのは クライアントPCにWindowsを使う場合、
  PPTP接続設定は簡単ですがL2TPはRegistry変更が必要で 一般的ではないと判断したからです。
  Protocol自体もPPTPのほうが軽いのでPC負荷も少ない。
8.YAMAHAのルーター設定 何人かの方に設定をしてお送りしました。
  IPネットワークの専門知識が必要ですが、設定方法をHPに掲載 しました。ギブアップした人には
  晩酌のドネーション¥10K位で書いて上げても良いなと思っています。
  今すぐに設定して欲しい方は、Emailで相談ください。空き時間に対応します。
   YAMAHAのルーターの設定Page はこちら
9.使用するアンテナ
  2014.10.19ついに35年間パンザーマストに付けていたHy-gainの204BAからSteppIR4Ele+7,10MHzの
   Dipole-Optionに変更しました。
  Logger32が持っているVSCで、遠隔コントロールが可能です。
  1.8~1.9と3.5~3.8MHz帯は2本のSloperにしました。 関連記事はこちら
 [2015.11] 3.5MHzは、SloperをやめてDipoleにした。SWRが2から下がらないためか1KW運用時に
  回り込みがひどいため。1.8MHzも同様で、Dipoleに変更します。
10.実際の運用手順
  (0) 運用接続する前の状態 IP-Camera2台は常時動作にしています。AC100V供給電源にUPSを接続し、
   これの負荷として HOST-PC(ML110G6)とSteppIR-controllerが接続してあります。
   HOST-PCの電源をONにすると これの12Vでリレーが動作し、トランシーバー電源の13.8V電源と
   ローテーター(Emoto1200FX)がON (1) 遠隔地(広島市等)のPC(Win7、8.1、10)から
   VPN(pptp)で松江市設置のネットワークに接続
  (2) ブラウザでHOST-PCの監視制御ポート(iLOのport)に接続して電源ON ⇒ HOST-PC起動
   HOST-PCの各部電圧、FAN回転、温度の正常を確認後にiLOからLogout ルーターにWOL中継機能を
   実装しているのでWOLでもHOST-PCの起動が可能です。
  (3) 遠隔地(広島PC)から松江のHOST-PCにリモートデスクトップ(RDP8.1or10)で接続。
   以下はHOST-PCの操作
   ①ARCP590を起動してTS-590Sの電源オン
   ②ブラウザで2台のIP-cameraに接続して状態確認。確認後に切断。
    ③BGARTCを起動し、RTC-59制御出力からSteppIR-controllerとIC-PW1をONにする
   ④Logger32を起動
 (4) 遠隔地(広島PC)とHOST-PCをSkypeで接続
   —– 以上で運用状態になります —–
   —– 運用終了操作 —–
 (1) HOST-PCの操作
   ①BGARTCからRTC-59制御出力でSteppIR-controllerの電源OFF制御
   ②HOST-PCのシャットダウン⇒全ての電源がOFFになる
 (2) 残っている物 IP-camera2台=動作中、SteppIR-controller=電源接続でOFF状態、
  HOST-PC=電源接続でOFF(shut-down)状態
 [注意]安定動作のため、月に1回程度の周期でIP-camera2台の遠隔再起動とSteppIRのCalibrate操作を
  行っています。SteppIRは、使っていると少しずつTracking誤差が増えてくるので。